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zoom RSS 国鉄蒸気機関車史

<<   作成日時 : 2015/04/27 13:00   >>

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4月初めに出た『国鉄蒸気機関車史』を読み終わりました。高木氏はイギリスの蒸気機関車の研究で有名になった方で、『レイル』誌や『国鉄時代』誌で国鉄の蒸気機関車に対する解説と評価の記事を連載していました。今回は単行本化ということになります(『国鉄時代』の方に由来するようです)。

一般に、国鉄の技術開発に対しては、いわゆる「国鉄史観」というものがあり、「制約を克服して世界に伍する技術力を築き上げた国鉄の輝かしい伝統」みたいな発想が根強くあります。しかし、高木氏はそういう見方に対して真っ向から対立して、「もっとやれることがあったのにやってない、欧米に伍する技術力なんて嘘っぱち」という考えで記述するために、かなりの摩擦があったと聞きます。『レイル』誌でも、圧力で追い出されそうになったとか追い出されたとか、そういう騒動があったように聞いています。この本も、よくネコ・パブリッシングは出版したものだと思います。ただ、読んでみてそれほどきつい棘があるようには感じられず、単行本化に当たってかなり棘を抜いたのではないかと思われます。私自身は過去の雑誌での連載時はどんなのだったか知らないのですけど、聞くところによればかなりきつかったようです。

9600形とかは、左先行になってしまったこと以外は高評価という感じで、他にもC11/C12のような小型機も割と評価しています。それに対してC59などはかなりひどい評価ですね。まあ、煙管が長すぎるとかその手の問題はありましたし。C53については、島秀雄氏がサンプル輸入したC52に対していろいろ弄繰り回して変にしてしまったという話がありますが、中央シリンダーの主連棒に対するカウンターウェイトを車輪に移して軽量化したことは高く評価し、一方でグレズリー式連動弁装置の連動てこに肉抜きをしたことをこっぴどく非難し「これでよいのかと思うばかりである」と島氏本人の発言を引用して叩いています。これで軽量化されたのはわずか7kgに過ぎないそうで、確かに木を見て森を見ずな「改良」になってしまっていますね。もっとも、この本を読んで私は逆に島氏の評価が上がってしまいました。蒸気機関車に関しては島氏はあまりいいところが無い、という印象だったのですけど、小型機ではかなりいいものを造っていたのですね。

後の方の、給水加熱器の分析とか、部品ごとの検討も面白いです。日本の資料ばかり見るので、本省式とか重見式とかそのあたりは知っていても、世界的にこんなにもたくさんの種類の装置が開発されていたというのは知りませんでした。こういうこともいろいろ知りたいのですけど、日本では国鉄機偏重で、世界的な資料が全然出てこないんですよね。

やはり、全体に筆致は抑え目に書かれています。これでも結構チクチクしていますけどね(苦笑)。貴重な写真も多いですしありがたいです。個人的には、もっと分量を増やしてもいいので、高木氏による詳細な批判検討を読んでみたいところです。

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