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<<   作成日時 : 2015/04/28 13:00   >>

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Business Journalというウェブサイトで、リニア、語られない重大な懸念と、前代未聞の難工事 車内気圧変動とヘリウムショックという記事が出ています。書いた人は明示されず編集部とだけありますが、記者は超電導リニアのシステムについての理解が不十分なまま書いているようです。

最大のポイントは、「軌道上に設置した無数の超伝導磁石を冷却し続けるのにヘリウムが欠かせない」というところですね(3ページ目)。実際には超電導リニアにおいては、軌道に設置されているのは単なるコイルであって、超電導電磁石ではありません。超電導電磁石を使っているのは車上側だけです。したがってヘリウムを使った冷却も車上側だけで、地上のコイルには特に冷却装置は付いていません。

超電導リニアにおいて超電導コイルを使う理由は、大量の電流を流して強力な電磁石を作るときに、常電導のままだと電力を浪費し膨大な発熱を生み出すのに対して、超電導だとそうした問題が無く、最初に電流を流しただけで強力な電磁石をずっと維持することができるからです。したがって、超電導は電動機における界磁の側に用いられます。一定の磁界を維持するために使っているわけです。界磁の他に、電動機では移動磁界を作り出す必要がありますが、こちらは変化する磁界なので、常時電流を変化させる制御を能動的に行う必要があり、超電導を使ってもわずかに消費電力を減らせるだけであまりメリットがありません。そこで、この移動磁界を作り出すコイルを地上に敷設して常電導で済ませる、というのが超電導リニアシステムのミソです。そうしなければ、沿線のコイルをすべて冷却しなければならなくなりますから。しかしこの配置を選択したことで、地上のコイルに変動電流を流さなければならないので、車上側で走行速度の制御ができず地上の変電所から制御するシステム(地上一次型システム)となってしまったわけです。

なお、車上の液体ヘリウムを使った冷却システムも、宮崎実験線の末期にはもうほぼクローズドサイクルで運転できるようになっており、実験開始時のようなヘリウム垂れ流しのシステムではありません。したがって、膨大なヘリウムを購入し続けなければならないようなシステムでもありません。高温超電導のコイルを使った実験もやっていますが、まだめどはつかないようですね。液体窒素温度で超電導になる材料もありますが、今のところ超電導リニアにおいて求められている電流や磁界を実現できるのは液体ヘリウム温度で超電導になる材料だけです。

車体の与圧については、これは大した問題ではないですね。リニアの車両は、もともと磁界の影響から車内を守るために厳重なシールドが施されているわけですから、気密性は高いです。今の新幹線でも、トンネル突入時の気圧変動の問題を緩和するために換気装置に気密を守る機構が付いています。また航空機においても、機内を地上と同じ気圧を維持することができるわけではなく、上空ではそれなりに気圧がさがっています。したがってこの程度の高度変化で生じる気圧の変動が車内の乗客に不快というほどのことはないでしょう。

それにしても、全くの誤解に基づくヘリウム供給問題を設定して、アメリカへの技術供与を「ヘリウムとのバーター」と邪推するのは、論理の飛躍が凄いという感じです。曽根先生の『新幹線50年の技術史』だと、アメリカへのリニア技術提供は、他に用途のない地上コイルの生産設備のキャパシティを埋めるため、と考えているようなのですけどね。

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