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<<   作成日時 : 2015/11/22 13:00   >>

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ずっと前に購入してあった『TGVハンドブック』をようやく読みました。もとは英語の本だったらしく、日本語訳されて刊行されたものです。

150ページ程度の比較的薄い本です。私は技術的な解説を詳しく書いてくれることを期待したのですけど、そういう方面は実に薄いです。車両の技術については、主電動機の出力やMT比などの話はありますが、駆動方式(TGVはトリポード駆動装置という気動車のような動力伝達方式が特徴です)やブレーキシステム(動力集中方式であるために中間客車は機械式ブレーキに頼らなければならない)については、まるで触れられていません。信号システムには、高速新線用にTVM300とTVM430なる方式があることはわかるものの、どんなものであるかはわかりません。電力システムや土木構造物には一切触れられていません。パリ南東線の最急勾配が35パーミルで、大西洋線になったときに25パーミルに緩められたことはわかりますが、一体どうしてそうなって、どういう効果があったのかはよくわかりません。

ではどういう面について主に触れているかというと、建設の経緯の他は、運行計画や車内サービスといった面です。新幹線に比べて加減速性の悪いTGVで、速達性を多様な範囲に及ぼすためにどういう運行計画が作られているのか、車内の座席配置はどうなっているか、供食サービスはどうか、発券システムはどうなっているのか、などといったことが主に書かれていました。

運行計画では、1時間に1本、あるいは30分に1本というような運行頻度を実現できるだけの需要があるのはパリ-リヨン間だけ(注: この本の英語版が出版されたのは英仏海峡トンネルの開通前なので、おそらくロンドンやブリュッセル方面もその程度の需要はある)なので、それ以外は1日に何本というような設定本数だけであり、それで多様な行き先をカバーするために停車駅パターンの異なる列車をたくさん走らせているようです。とにかく、TGVは加減速性能が新幹線よりはるかに悪いので、停車駅が多い列車は速達性を大きく損ないます。なので、できるだけ長距離をノンストップで、高速を維持して走れるようにダイヤを組む必要があり、結果的に中間駅の数はそもそも少なく、建設された中間駅も一部の列車が選択的に停車するわけです。きわめて多様な系統が設定されていますが、同じ系統は1日に数本、というような感じです。結果的に、特にパリに近い部分ではかなりの列車密度にはなるのですけど、個別の駅のサービス頻度はかなり低いと言わざるを得ません。

このあたりを見ると、やはり新幹線は都市鉄道が都市間へ発展したインターアーバンを高速化したものという発想があるのに対して、TGVは従来からの都市間列車を高速化したものという発想があるように思います。緩急結合などという運行方式を使うのは、インターアーバン的な発想なのでしょう。

供食サービスについて言えば、やはり美食の国フランスだけあって食堂車の供食サービスにはこだわりが強いようです。しかし、結局のところ制約に厳しい車内での食堂営業で利益を出すことは難しく、外部の業者に委託して営業しているものの、不足する経費はフランス国鉄が補填しているようです。乗客へのサービスという位置づけでやっているようですね。

発券システムは、当初は旧来のシステムを改修して使っていたようですが、1990年代に使用開始されたレザラーユ2000というシステムは、アメリカン航空の開発した航空券用のソフトウェアを買って導入したものだそうで、残席数や予約時期に応じて動的に値段の変わるダイナミックプライシング(レベニューマネジメント)を実現しているようです。この手の運賃システムは、あちこちの鉄道会社で導入されるようになってきましたが、フランス国鉄では1990年代からやっていたのですね。

この本は、これはこれで面白いです。しかし、やはりしっかりした技術面の解説を読んでみたいところです。

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