日々題

アクセスカウンタ

zoom RSS 国鉄改革

<<   作成日時 : 2016/01/23 13:00   >>

トラックバック 0 / コメント 0

出張期間を利用して、角本良平先生の『国鉄改革』を読みました。もう20年近く前に発行された本です。タイトルから見て、国鉄分割民営化の経緯と評価を詳細にまとめた内容なのかと思っていたのですが、実際には国鉄がなぜ分割民営化を必要とするような失敗に陥ったのか、その原因を解説する内容でした。第二次行政調査会以降の分割民営が決定する経緯も書かれてはいるのですが、そちらよりは失敗の原因探究が主たる内容です。

もう、ほとんど最初からずっと繰り返しで書かれているのですが、角本先生は国鉄の失敗の最大の原因を、予算も設備投資計画も人員採用計画も運賃も、すべて政府の裁量・国会の承認に依存していて、自分たちで鉄道経営のために最適となる決定をすることができない、自主性のなさに帰しています。物価や人件費が上昇しているためにどうしても運賃値上げが必要になってきているのに、インフレの抑制だとか選挙対策だとか国会での野党との取引材料だとかで、値上げが遅らされたり見送られたりします。戦前の鉄道省の方が自主決定できた分だけマシだ、というわけですね。

そして政治家も国民も官僚も国鉄幹部も労組も、巨大組織たる国鉄に寄りかかっていて、自分たちの要求を突きつければ何とかしてくれる、と過大要求を続けて、しかしそのための費用負担はだれも考えない、という構造的な問題があることにも言及しています。特に、田中角栄内閣の日本列島改造論に伴う巨大投資は、「赤字の問題ではない」と自著でも言及しているように、赤字を生み出すことはわかっていたのに、それをどうやって負担するかについてはまったく考慮がなかったわけです。

投資に関しては、自動車や航空機との競争の時代になっているのにもかかわらず、「総合交通体系」という空理空論にとらわれて、鉄道にも分担するべき分野があるとして、輸送量が増大していくことを前提に常に過大な投資をしてきた、と批判しています。特に貨物輸送に関しては、固有経費(旅客と共通負担となる線路に関する経費以外の、貨物列車運行のためだけに必要となる経費)すら負担できていない状況だったので、もっと早く縮小を考えておくべきだった、とします。

いちいち、失敗の原因としては納得がいく話で、それをきちんとしたデータを基に裏付けているところがさすがです。福井義高先生の『鉄道は生き残れるか』でも、やはり国鉄・JRは事業規模の縮小を積極的に考えるべきだ、という主張であるところは似ていますね。ただ、こちらの方がよりしっかりしたデータに基づいている感があります。もっとも、国鉄時代に判断の誤りは多々あれど、そのうちどれだけが当時実際に正しく判断できるべきことであったのかは疑問で、角本先生も「後知恵かもしれない」と何度か本文中で触れていますね。

国鉄改革関連の本はいくつか買ってあるので、さらに読み込んで、詳細な経緯を調べたいところです。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
国鉄改革 日々題/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる