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zoom RSS 電気鉄道のセクション

<<   作成日時 : 2016/11/02 13:00   >>

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戎光祥レイルウェイリブレットの第2巻、『電気鉄道のセクション』を読み終えました。非常にいい本でした。

電気鉄道のセクションというと、架線に電力を供給する際に、両側の架線で電圧や位相が異なっていたり、保線作業などの都合で一部区間だけを停電させる必要があったりして、電気的に区分する必要がある場所で、架線の一部が絶縁されている場所を指します。このセクション自体、様々な技術上の考慮点があって面白いのですが、この本が出ると聞いた時には、さすがにそれだけで1冊の本を書けるものだろうか、と思っていました。実際には、直流電化や交流電化そのものの技術についてもかなり触れながら、後半はほぼセクションの話が書かれているという、かなり充実した内容になっていました。結局、どうしてセクションが必要になるか、というところを考えると、特に交流電化においては、変圧器の構成や饋電方式に依存するので、そちらから書き起こさねばならないのですよね。

後半でドイツやフランスの構成についても説明があるのが非常に良かったです。ドイツは交流15kV16.7Hz電化という低周波交流電化なのですが、かつての16 2/3Hz電化という公称周波数値が16.7Hzに変わったのは2004年だと明記されていました。公称値が変わったというのは聞いていたのですが、具体的な時期が明記されている文献を見たのは初めてです。16 2/3Hzは、ドイツの商用電源周波数50Hzのちょうど3分の1で、電動発電機で変換していたからこの周波数なのだと思うのですが、16.7Hzに公称値を変えたというのは、インバータで変換する仕組みにすると10進法できりの良い数値の方が結局やりやすい、ということなのではないかと推測しています。しかしそこの説明は、この本を含めていまだに見たことがありません。

そして、16.7Hzの電力を効率よく供給するために、ドイツは鉄道の自営送電網を持っています。その送電網は一般電力網と異なるので、鉄道負荷に合わせて単相送電網なのだそうで、そのためにセクションの必要性がなく、直流電化区間と同じ並列饋電になっているのだそうです。このところはまったく目からうろこでした。日本は三相の一般電力網から変電所で受電するので、三相電力網に不平衡を与えないために、スコット結線変圧器か変形ウッドブリッジ変圧器を介して直交二相に変換することになり、変電所の前を中心に両側で位相が90度異なることになり、異相セクションがどうしても必要となります。単相で受電できれば、このセクションは不要というわけです。

こういう根本的な電化方式の発想の違いがどうして生まれたのかを追求して、それぞれの技術的な特徴、コストなどを比較することで、より良い方式を追求できれば良いのですが、各国とも詳細な費用などは公開しませんし、比較が難しい面がありますね。この本は、現状としてどうなっている、というところはきちんと説明されているのですけど、歴史的にどうしてそれが発展してきたのかについては説明されていないので、そこが少し残念なところです。とはいえ、そこまではとてもこのボリュームの本には収まりきらないのでしょう。

戎光祥レイルウェイリブレットは、いまのところ2巻とも非常な当たりでした。これは編集に相当な目利きがいるのでしょうけれど、こうしてみると、以降で優秀な執筆者と良い目の付け所となるテーマを用意し続けられるのか、相当難しいかと思いますが、楽しみにしたいと思います。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ドイツの低周波数電化の説明を日本に援用すると、東海道新幹線の50ヘルツ地域区間(電車は60ヘルツのまま)は、いずれ変換器を完全半導体化するでしょうから、単相饋電に置き換えることが可能なのではないでしょうか。一旦直流にしてしまいますので。
今のところまだ半世紀前の回転型インバータが残っているため、そういかないのですが。
また、地域と同じ周波数を使っている交流電化区間であっても、路線が短小な阿武隈急行などや、黒磯駅近辺、藤代駅近辺は単相だけ取り出すというのを、デッドセクションを扱うサイトで閲覧しました。
変圧器の配線を工夫することで90°位相差電源から更にその中間を取り出すのでしょうか。電気回路の知識はないに等しいので、推測に過ぎませんが。
たづ
2016/11/03 14:32
なるほど、東海道新幹線の変換機構は、半導体変換器になれば単相饋電にできますね。回転型インバータでも位相の同期さえ揃えば単相饋電化は可能な気もしますけど。
単相だけ取り出す仕組みはよくわからないですね。
Tamon
2016/11/04 01:11

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