オーストラリアへの潜水艦売却

日本の技術で造った潜水艦をオーストラリアへ輸出するという話が進んでいるようです。武器輸出をずっと禁止してきたので、潜水艦などというまともな正面装備を輸出するという話がこんなに早くまとまる方向になっているとはびっくりです。

まあ、確かに日本の潜水艦技術はかなりのものではあるのですが。アメリカは、もう長く原子力潜水艦しか建造しておらず、ディーゼル潜水艦の技術は途絶えてしまっているので、供与することができません。ドイツなら可能ですが、ドイツは途上国が導入するような小型の潜水艦を専門にしているので、日本のように原潜に匹敵するような活動をさせるような大型のディーゼル潜水艦は、他にはロシアくらいしか造れないというのが実情でしょう。さすがにロシアから買うのは政治的に問題がありそうですから、日本から買う以外には手だてが無いのでしょう。オーストラリアが独自に取り組んだコリンズ級潜水艦は、技術面で散々な評価しか聞かないですし。

商談総額2兆円という話が流れています。これは物凄い金額に見えますね。日本の「そうりゅう」型が1隻500億円くらいのはずなのですが、まさか20隻も買うわけもないわけで、一体どういう計算なのでしょうか。当然、建造後の要員の教育訓練とか保守の支援とかの話も入ってはいるのでしょうけど。またこの規模の額になると、オーストラリア側の産業界の反発も凄いでしょう。

もう一つ気になるのは、日本では三菱重工業神戸造船所と川崎重工業神戸造船所の2か所しか潜水艦建造能力のある造船所が無く、毎年1隻発注される海上自衛隊の潜水艦を交互に受注することで建造能力を維持してきた背景があるのに、それに割り込んでオーストラリア向けの潜水艦を建造できるのだろうか、というところです。急に建造能力を拡大するのも難しいはずで、また拡大したらしたでこのプロジェクトが終わった時点で困ることになります。そのあたりのハンドリングが非常に難しいプロジェクトに見えます。まあ、この規模の商談でノーリスクというのもありえないのでしょうけれど。

日本はもう、スターリング機関を使った大気独立推進(AIP)をやらない、という話も出ていますし、潜水艦技術がどうなるのか、気になるところです。

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