鉄道貨物 再生、そして躍進

鉄道貨物 再生、そして躍進』をようやく読み終えました。JR貨物の社長・会長を務めた伊藤氏が書いた、国鉄改革の経緯と鉄道貨物の現状を解説した本です。

以前から、既にこの本を読んだ人から、圧縮すれば3分の1にできる、冗長でまとまりがない、という批判が出ていました。私も読んでそのように感じました。もう少しうまくまとめられるのではないかと。同じ本を出すのでも、まだJR東海の葛西氏の方がうまいですね。

内容として面白かったのは、国鉄債務承継額の決定方式です。私は単に、分割後の各社の経常利益が1パーセント程度になるようにうまく計算して決定したのだと思っていました。もちろんそれもあるのですけど、伊藤氏によれば、国鉄から承継する資産額から、承継する債務額を差し引いた額が、各社の資本金となる設定なのだそうです。それだと、発足した各社は、国鉄清算事業団が新たに出資して作った企業とみておかしくないことになりますね。このために各社とも承継資産を最小限に抑える必要性があり、多くの車両が廃車となったわけです。また、貨物列車だけが走っているような路線でも、旅客会社が承継したところが多数ありますが、将来的な旅客輸送の可能性を想定しただけではなく、貨物に承継させると負債額も増えて、経営が成り立たなくなるという面もあったようです。

貨物輸送を全国一社で旅客と別に分離するという方式の決定経緯も書かれていましたが、国鉄改革の時にあまり貨物輸送は気にしていなかったのですね。まあ、貨物の安楽死論が出たくらいですからね。

再生 躍進、と言いますけど、確かにJR貨物の関係者がいろいろ努力したのだとは思いますが、現状の日本の物流における意味は、それほど大きくないと言わざるを得ないと思っています。将来に備えて選択肢を残しておく、くらいの意味合いしかないように思います。だいぶ効率化が進んで、どうにか鉄道事業で営業利益が出るようになってきましたが、アボイダブルコスト方式が残ったままでは本質的な利益ではありませんし。なんとも難しいところです。

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