イタリアの新リニアモーターカー

イタリアで新たな形態のリニアモーターカーを開発しているそうです。なんでも、既存の鉄道のレールに対して磁石を近づけて磁気浮上を実現して走るのだそうです。しかし、いかにも怪しい感じの説明が並んでいますね。

現行でも、鉄輪式リニアモーターカーのように、リアクションプレートに対してリニアモーターが動作することで、駆動・制動力を得る乗り物は実用化されています。したがって、鋼鉄製のレールに対しても同様にリニアモーターを近づけて駆動・制動力を得ることは可能でしょう。しかし、磁気浮上の力が得られるためにはどれだけエネルギーを使わなければならないのか、想像もできません。何か想像していないような工夫があるのでしょうか。

本文でもちょっと触れていますが、分岐部をどうするかが大問題ですね。現状の鉄道の分岐器そのままでは、この構造の浮上装置とぶつかってしまいます。鈍端分岐器にすれば解決するかもしれませんが。また、レール同士を固定するために使っている締結金具がレールの側面にあるので、この装置のように側面に接近させた部分があると、やはり接触してしまいます。レールの締結方式そのものを全部やり直さなくてはなりません。

そうしたレールそのものに関する問題を置いておくとしても、大問題なのは曲線です。側面にまで浮上装置が回り込んでがっちりとレールを抱え込んでいるようなので、どんなに高速で曲線を走行しても、遠心力で車体が転覆するというようなことはないかもしれません。それは構造次第です。しかし、中に乗っている人はそうはいかないわけで、外側の車体に押し付けられる事態になります。したがって、現状の線路の曲線では、現状の列車が走るのと同程度に減速しなければならないということには変わりがありません。そして直線区間では、現状の列車でも十分に高速で走れるのであり、こうしたトリッキーなシステムを必要としていません。音速を超えるといったらこうしたものが必要になるかもしれませんが。そして、曲線を高速対応に改築しようとすれば、結局高速新線の建設費はやっぱり必要なのであり、何ら今までの高速鉄道に対して優位性がないといえます。

わからないことだらけですけど、時折こういう、既存のシステムを馬鹿にするかのような、画期的新提案なるものが登場しますし、それが実用化されたという話は寡聞にして聞かないので、まあそういうものなのだろうと思います。

この記事へのコメント

たづ
2018年02月24日 15:06
導入しようとして早速大コケしそうなデザインですね。
既存の高速鉄道でも、駅部はそれなりに急曲線ですし、欧州だと大量のダブルスリップがあります。
仰る通り分岐器の交換をしようにも、鈍端分岐は大抵英語でいうワイかサイディングくらいしか既存のものもないでしょう。
350~400km/hなら今のレールシステムで行けるわけです。そして線路の締結金具、欧州では少数派でしょうが犬釘を使ってたら磁力線の影響を考えねばなりません(動画のネジ釘でも長期的には出てきますが)。
多額の予算で画餅ってなんでしょうね?
Tamon
2018年02月25日 21:27
まあまだ、大学の研究室段階のように見えるので、そう大した費用ではないのではないかと思います。コンセプトを試そうと実験したら、誰かがすぐにも実用化して既存の高速鉄道は時代遅れに、みたいな大言壮語をしてニュースになっちゃった、みたいなレベルじゃないかなぁと。

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