日本の鉄道は世界で戦えるか

日本の鉄道は世界で戦えるか』を読みました。著者の川辺謙一さんは、化学系の仕事をかつてされていたそうで、サイエンスコミュニケーターを志して本を書いているそうですが、鉄道関係の著作も多いです。この本が出版されたころ、その販促を目的とした記事が週刊東洋経済オンラインに掲載され、刺激的なところばかりが記載されていたためか炎上気味になっていました。

日本の鉄道市場は特殊で、特に鉄道にとって恵まれていることを示し、米英仏独の鉄道と様々な観点から比較しています。この主張はまったくもって正当ですし、あまりこういうことをきちんと書いてくれる本はこれまでなかったように思います。しかし、日本人は鉄道に期待しすぎであるがゆえに鉄道を苦しめている、という主張はちょっと飛躍が過ぎるかな、という感じがしました。期待の高さが苦しめる要因の一つくらいには言えるのかもしれませんが。この本の主な主張をするうえで、必要と思われる記述には見えないのですよね。この本の中では重要な部分を占めているのですが。

「~であるとすれば、~であるだろう」というような言い方が気になります。前提を仮定して結論を書くというのは、前提が成り立たなかったら何も言っていないことになるわけです。それなら、前提が成り立つことをきちんと論証して示すべきなのであり、その責任を放棄して主張を適当に放り投げるのか、という感を受ける書き方です。本を書くのであれば、もっとはっきり自分の主張を記載してほしいところです。

ハイパーループの話が2度ほど出てきていますが、実際のところそう大したものではないと思うのですよね。その割に超電導リニアが今からの時代に必要かと疑念を呈しています。私はこれについては、東阪間という圧倒的需要が存在する区間であれば、これから人口がかなり減っていく日本であっても問題はないと思うのですよね。まあ見解の相違ではあります。

全体としてはうまくまとめられている本で、紹介記事が炎上したのは、炎上マーケティングなのかたまたま刺激的な部分だけ書いたのか、と思いました。

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