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zoom RSS 新幹線実現をめざした技術開発

<<   作成日時 : 2019/03/21 13:00   >>

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新幹線実現をめざした技術開発』を読み終わりました。昭和20年代から30年代にかけて、結果的に新幹線の実現につながった様々な技術開発についてまとめた本です。蛇行動、軌道管理、集電系、信号システムといった範囲について取り上げられています。

物理的なモデルの提示とそれを微分方程式で定式化したもの、その展開と計算結果のグラフ表示、そして実験結果との対比と結論、といった話が延々と続いています。これこそが技術開発、というような内容の話で、おそらくこういう内容にはついていけない人も多いんじゃないでしょうか。何しろ数式とグラフのオンパレードですから。

敗戦で職を失った航空関係の技術者が、戦後国鉄に流れてきて新幹線につながる技術の基礎を築いた話はよく知られています。台車の蛇行動対策に大きな功績があったことも知っていました。しかしこの本では、その具体的な内容について随分詳しく書いています。台車の運動モデルを作って微分方程式を解き、結果としてどの定数をどのくらいにすれば最適な乗り心地を実現できるのか、というところを結論まで導いています。1輪軸だけであれば割と簡単なモデルなのですが、ばねの伸縮も含めた2軸4輪の台車のモデルに、さらに台車を2個車体に取り付けて回転できるようにしたモデルまで作ると、物凄く複雑なモデルになってしまうのですが、これをよくぞ解いたものです。解析結果の式からして非常に複雑なんですけどね。これできちんと実際の列車の運動状態を表現できるようにした、技術者の松平さんは、非常に物理のセンスがあるということでしょうね。もうどうしてもこれ以上は手計算でできない、というところまできて、タイミングよく鉄道技術研究所に電子計算機が導入されて、解析できてしまうところはおおっとなります。

重ね板バネを入れると、解析に向かない摩擦が効いてきてしまうため、軸箱支持方式としてIS式が登場する話は、なるほどと思います。結局のところ、重ね板バネがどうしてもだめというより、うまく理論解析に乗るような他の仕組みを考えたかったということなんですね。

こうやってかなり事前に究明された蛇行動に比べて、やはり素人目に見ても集電系の研究は甘いように見えます。道理で、開通後にさんざん集電系のトラブルで悩まされたわけです。まあ、集電系は失敗しても列車を止めるだけですが、台車周りは失敗すると脱線して死者が出ますからね。このあたりは、綺麗なストーリーで描かれているのですけど、当初考えていた架線構造に対して京阪が特許を先に取得していたため揉めた、という話は書かれていないんですね。ある意味国鉄史観の気もします。

しかし今まで見たことがないような技術解説の本でした。これを完全に読み解ける人はほとんどいないと思いますが、お勧めできる本です。

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