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zoom RSS 近代日本鉄道会計史

<<   作成日時 : 2019/04/20 13:00   >>

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近代日本鉄道会計史』を読み終わりました。鉄道の会計には割と独特なところがあって、昔の資料を読む際に意味を判読するのに苦労するところがあり、参考になるかと思って読んでみたのですが、会計のやり方がどう変わったかを説明しているのであって、会計の読み方自体を教えてくれるわけではないのですよね。しかし、学術的な本だけあって、非常に多くの資料を引用しながら解説されており、参考になりました。

主に戦前期の鉄道の会計を国有鉄道を中心に説明していました。実は、国鉄が減価償却を始めたのは1948年なのだそうで、それ以前は固定資産は建設時の価額で計上されたままで、老朽取り替えに際して建設時の価額を差し引き、新しく建設したものの価額を付け加えるという処理で資産額を表すようにしていたのだそうです。それだと、今使っている施設の建設時の価値を表すだけで、老朽化の進展に応じた現在価値を示してはいないわけですね。また、原価計算上も減価償却の必要性があるわけですが、当時はそういう考えはなかったようです。

また、固定資産勘定と収益勘定の間での資金のやり取りも説明されており、結果的に収益勘定の益金を固定資産勘定に渡して建設費に充てるため、見た目上は収益勘定にとって固定資産投資は即時償却であったとあります。巨額の益金に見えても、まだそれから償却しなければならないわけですから、今の利益と比較するのは難しいのですね。なお、当初は固定資産勘定は国の一般会計との間で資金をやり取りしていましたが、途中で収益勘定との間だけで資金をやり取りするようになり、これで国有鉄道は独立採算となった、と書いてありました。

民鉄については最後の方でちょっと説明されているだけなのですが、戦前はほとんどの会社で減価償却されておらず、昭和に入ってやっと減価償却が普及するものの、その償却額は政策的に決定されることが多かったのだそうです。これもまた単純に収益を読むことができない理由になりますね。

こうしてみて、大変面白いのですけど、著者の方は冒頭で、会計史を研究する意義についていろいろ書いています。なるほど会計などは正しく会社の利益と現状を計算できれば良いのであって、過去の歴史など役に立たないのかもしれませんが、それでもどのような考えでどう改良してきたかを知るのは無駄ではないように感じました。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
今も鉄道資産のうち、地上側施設の多くが取替法によっていますので、一見すると減価償却していないように見えてしまうのは確かですね。
一応、税法とも関連して最初は50%まで減価償却しますが、その後は取替のときに取り替え費用を減価償却の代わりに費用化しています。
まあ、戦後は猛烈なインフレがあったので、減価償却してもしなくても実際のところあまり変わらない時期もあったのですが。
確かD51が製造時5〜7万円くらいですかね。むしろ戦後の装備改造でつけた後付部品のほうが数段高額になります。
少し前にRPの京急(だったかな?)の特集を読んだのですが、戦前の財務諸表には現在の感覚では信じがたい「未払込資本」が資産計上されていたりします(今では純資産ですらありません)。
たづ
2019/04/21 16:58
なるほど、50パーセントまで償却して後は取替法なんですね。国鉄の場合1955年に資産の再評価をして、その時点での評価額に直されたそうなので、一応償却額は妥当な水準になったようです。
Tamon
2019/04/22 00:28

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