海峡の鉄路 青函連絡船 110年の軌跡と記憶

海峡の鉄路 青函連絡船 110年の軌跡と記憶』を読みました。著者は北海道新聞社の記者をしていた方で、道新が保有していた写真なども使って書いた本のようです。もともと鉄道は好きな方のようで、いろいろ鉄道関連の著作もあるようです。

比羅夫丸に始まる青函連絡船の歴史を一通り抑えて書かれています。ただ、記述の濃度としては洞爺丸事故以降の方が圧倒的に詳しくなっており、通史を一定の密度で描くという感じではありません。写真もたくさん使っていますが、文章が中心の本であり、写真集ではありません。文体としてはいかにも新聞記者という感じで、やや煽り気味、誇張気味に感じられました。冷静に淡々と歴史を描くという感じではありません。関係者のインタビューに基づいた証言がたくさん収録されているので、そういう点は貴重な記録なのですけど、一方でそのために、全体をうまく取りまとめて実像を示すという感じはしません。特に洞爺丸に関しては、悲劇的な事故であるだけに、感情に流されてしまうきらいがあります。

しかし全体としては、青函連絡船の実像の一端を描く良い本になっているものと思います。

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