京急踏切事故

昨日、京急本線の神奈川新町駅脇の踏切で、立ち往生していたトラックに快特が突っ込んで脱線する大きな事故があったそうで、かなり話題になっていますね。トラックそのものがなぜその踏切に来たかは、運転手が死亡してしまったため断定できないようですが、監視カメラ画像などから見て道を誤って入ってしまい、何とか脱出しようとしているところだったと思われるようです。

踏切の障害物を検知する装置、いわゆる障検は取り付けられていて正しく動作していたそうですし、京急社員が踏切にいて非常ボタンを扱ってもいたそうです。非常ボタンは障検と同じく、特殊発光信号機(特発)を動作させるだけなので、両方扱っても同じ効果しかないのだそうですが、一方京急の導入しているATSは、特発の動作に連動する機構がないそうで、運転士の目視だけが頼りだったようです。今回、踏切遮断完了時点で既に踏切内にトラックが進入していたわけであり、列車が接近してから無謀進入した事例ではないので、障検が動作したのであれば、列車が踏切手前で停車できる位置で信号を送っていたはずです。それが衝突に至ったというのは、運転士が特発動作になかなか気づかずに、接近してから非常ブレーキを扱ったということではないかと思います。そうなると運転士の責任が問われかねないですね。

踏切の直前横断が多く、特発が瞬間的に動作することは数多いのだそうで、それによりオオカミ少年効果が生まれて、特発が動作していてもそのままの速度で突っ込んでしまう、というようなことではないかという推測もありました。それでは意味がありませんね。警報機が鳴動開始してから一定時素で特発が動作するのだそうですが、遮断完了してからではないのだそうで、どうしてだろうと思ったのですが、それこそ自動車が挟まっていて遮断桿が降下完了しないときに、障検が無効のままでは困る、ということのようです。いろいろ考えると難しい面が多々ありますね。

ATSに連動させると、直前横断で頻繁に非常ブレーキがかかることになりそうです。また小田急線で沿線火災を知らせるために踏切の非常ボタンが使われ、そのために停車したものの、それが火災現場のすぐ脇で車両が焦げてしまった、というようなかえって危険を高めかねない事例も過去にありました。小田急の場合、障検の状態をATSに取り込んでいるので、無視して通過することはできないのだそうです。それを考えると難しい面がまたまたあります。

基本的に、障検の条件をATSに取り込むようにするが、障検の条件が解除された場合にはすぐ速度を回復できるように非常ブレーキではなく常用最大ブレーキを適用するようにし、また小田急線の事例のような非常事態では運転士操作で故意に無視することもできる、というような仕掛けが必要なのでしょうか。保安装置としてはいろいろ複雑になりそうで、悩ましいところです。

この記事へのコメント

たづ
2019年09月07日 22:56
復旧前のテレビ報道で見ていたのですが、再遠点の340m手前の発光信号機もカーブの中にあるため、見えるようになるのは架線柱1,2本くらい手前の地点からで、足し合わせても400mぐらいしかありません。
120km/h(33.3m/s)ではほんの10秒ほどの時間猶予しかない上制動距離も多分若干不足するのではないでしょうか。
もっと遠方にも信号を増設するのかは論点になるかも知れませんが、今回の事故は増設があったとしても間に合わなかったケースのような気もします。
車の切り返しの度に支障・非支障の信号が入れ替わるのでは、数秒で条件が変わってしまいます。
9月6日までのニュース報道を見聞きした限りだとトラックは比較的古い年式の車両で、カーナビがないものだったようです。
現場に至る道は大型車について言えば左になら曲がれるが高さ制限があり、右折は今回の事故の通り極めて曲がりづらい。実質通り抜け不可の道です。
本来は入り口に「大型車通り抜け不可」の標識も要る気がします。
ただ、カーナビは平成のはじめにはほとんど誰も使っていなかったわけです。普及するまでは皆、地図に自分で書き足すなりしてルートを頭に入れた上で走っていました。
ナビはある程度楽にはなる支援システムだが、それに頼り切りになるというのは危険だという事を改めて思い知らされた一件だったような気がします。
Tamon
2019年09月07日 23:18
特発の視認距離が怪しいという話はありましたね。
一応、東神奈川駅へ曲がるところの手前で、道路を案内する青看板標識の中で2.8メートル制限高は表示されていたみたいですが、すぐに判読するのは難しいのかも。