都市鉄道の技術社会史

都市鉄道の技術社会史』を読み終わりました。比較的薄い本ですんなり読めました。

東京を例に、都市鉄道の技術がどのように発展してきたかを東京馬車鉄道の時代から追いかけた本です。技術社会史と言いつつ、社会も含めているからでしょうが、都市交通の統制政策の話や、ソフトウェア的な運行技術、乗客の乗車マナーを啓発して何とかラッシュを捌く、といった話まで出てきます。そういうところまでが一体となって東京の都市鉄道を形成しているからなのでしょうけれど。

やはり読んでいくと、民鉄が主体で形成した結果無秩序に郊外に住宅地が広がって鉄道が過大な輸送を強いられていること、国鉄は全国に投資しなければならないから東京だけに集中投資できなかったこと、そして東京府/東京市が財政難でなかなか地下鉄の建設に踏み切れなかったことなど、多くの事情が重なって、東京の都市鉄道はまだこの程度に落ち着いているのだということが描かれていますね。もっとしっかり早期に投資していたら、東京の都市鉄道はさらに壮大なものだったのでしょうが、そうなるとさらに人口の東京集中が進んでいたのかもしれません。現状は過少投資のツケを猛烈な混雑と乗客マナーで何とかこなしている感じがします。

交通統制についてはどうすればよかったのでしょうね。民鉄がこれだけやったからこそ、不動産投資の利益を新線建設に充てることができたわけで、公営交通ならこれは厳しかったでしょう。もっと税金をつぎ込むべきだったのでしょうか。せめて、運賃制度の統一くらいはできないものかと思いますが。

技術そのものにあまり突っ込んでいる感じはしないのですが、それなりによい本でした。

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