COVID-19の治療方法模索

COVID-19に対する格闘が各国で続いているようです。

治療薬は、新たに開発するというより、既存の薬の中で使えそうなものをいろいろ試している段階のようです。既存の薬は既に治験が行われていて副作用にある程度知見がありますし、ストックもあるのですぐ使えますし、生産工場もあるという利点が大きいですからね。トランプ大統領がゲームチェンジャーだと言って推奨しようとしていたクロロキンは、結局死亡率をかえって上昇させかねないということになって、今のところ非推奨ということのようです。またレムデシビルもかなり期待されていたものの、中国での治験ではプラセボに対する有意な差が出ずに治験中止になってしまったようです。寄生虫に対する治療薬であったイベルメクチンが大きな効果を出していて、死亡率が6分の1、退院までの日数も短縮というまとめになっているそうです。もっともこれは、各国の治療データを集めた分析であって、条件を揃えた治験ではないようです。

こうしてみると、いろいろな手段を試しているうちに、かなり効果の出る治療薬が見いだされてきそうな期待がありますね。何と言っても、アメリカとヨーロッパでの被害が大きいので、大製薬メーカーも医療界も必死になって対策を探しますからね。これがアジアだけで大きな被害を出していて欧米が横眼で見ているような状況なら、ここまで世界中で必死に取り組むことはなかったのではないかと思えます。

また、急激に症状が悪化する理由も次第にわかってきているようです。肺炎が進行して酸素を取り込む能力が低下して、血中の酸素飽和度が低下しても、二酸化炭素を排出する能力は低下しない症状を呈するため、本人に自覚が出ないのだそうです。酸素飽和度が低下しても自覚しないということがあるのですね。しかし無自覚に呼吸が深くなって、それがさらに肺炎を進行させ、限界に達すると突然倒れるというようなことになるのだそうです。だから、無自覚だったのにCTを取ってみたらCOVID-19だった、というようなことが起きるのですね。

そして、酸素吸入と体位変換で、肺の異なる部位に酸素供給を分担させてやると、挿管や人工呼吸器の使用を回避しやすいということがわかってきたのだそうです。人工呼吸器は数に限りがありますし、使用すると非常に多くの病院スタッフによって管理が必要となり、医療負担がとても大きなものとなってしまいます。それを緩和できるのであれば非常に大きな利点です。

こうしてみると、3月に欧米諸国で状態が急激に悪化してから、2か月経たずにここまで明らかになってきているので、6月か7月頃には致死率を大幅に下げ、医療負担も大きく緩和できるベストプラクティスが見つかって展開できるのではないか、と期待しているところです。そうなれば、社会的免疫を目指してロックダウンを緩和して、そのまま感染が広がっていくようにする、という正面から突っ切る戦術を選べるかもしれません。

ニューヨークでの無作為の抗体検査では、15パーセントの人に抗体があったそうです。もし本当にそうなら、割と早く社会的免疫に到達できそうな期待もあります。しかしこの抗体検査は結構ずさんだという批判もあるようで、実際はもう少し低いのかもしれません。

スペイン風邪の時は2年ほど大被害を出し続けましたが、100年経った今では人類はずっと多くの武器を持っているわけで、何とか早く抑え込むことを期待したいです。

この記事へのコメント

旅の途中のとおりすがり
2020年04月26日 13:44
> 酸素飽和度が低下しても自覚しないということがあるのですね。

もともと、人間が感じる「息苦しさ」は血中二酸化炭素濃度に応じた感覚で、血中酸素濃度とは無関係です。一方、血中酸素濃度が下がったら呼吸を深く早くして空気から酸素を取り込むのを増やす、という調節は無意識に行われます。これが今回の疾患では良くない方に作用しましたが、労働安全の場において酸素欠乏の危険性が訴えられるのもこの体の仕組みによります。酸欠の場所に入っても自覚はなく、むしろ無意識に呼吸を多くしてますます血中酸素濃度を下げてしまい、自覚のないまま昏倒する、ということになります。
Tamon
2020年04月27日 01:01
ああ、そういえば安全教育で酸欠のときの問題を習いますね。なるほど。