山本寛斎氏逝去

もう数日前の話ですが、山本寛斎氏が亡くなられました。本業はファッションのデザイナーですが、京成の現行AE車のデザインを任されていたので、鉄道関係の方でも仕事をした方です。こういう仕事もできるんだ、と当時驚かされたものです。

実際に山本氏がどれだけAE車の設計に携わったのかはよくわかりません。日本車両の社内デザイナーがかなりのところの仕事をして、山本氏は全体のアイデアやとりまとめ、指導などをやったのではないかと推測しますが。鉄道ならではの制約を考慮するのは、まったく経験のない人には厳しいでしょうし。しかしできあがったあのかっこいい車両を見ると、一流のデザイナーは本来の分野外でも能力を発揮できるのだ、と思わされます。

もっとも、メーカーの立場からすると泣かせる先頭形状だったそうですね。両側の板の形状を綺麗に先頭で揃えてつなぎあわせなければならないのです。自動車であれば、金型を用意してプレス加工すれば同じ形状をいくらでも生産できるので大した問題ではないのだそうですが、鉄道車両の場合は自動車ほどの量産数がないので、金型のように非常にコストのかかる方法は取れないのだそうです。自動車は金型のコストを量産台数で頭割りしてしまうから成り立っているわけですね。そこで職人さんが手作業で形状を整えているのだそうで、それが大変だったとかなんとか。

考えてみると、700系までの新幹線の先頭車両の形状も、あの複雑な形を職人さんの手作業で打ち出していたんですよね。N700系になってついに限界に来たのか、プレス加工になったそうですけど。新幹線くらいの量産数があれば成り立つのか、それとももう手作業ではどうにもならないから高くつくのを諦めたのか、どちらでしょう。

鉄道の分野にいろいろなデザイナーの人が関わってくれると、また新しいセンスを生み出す感じがして楽しいですね。山本氏のセンスも素晴らしかったと思います。

この記事へのコメント

旅の途中のとおりすがり
2020年07月30日 20:09
京成電鉄は山本寛斎氏への追悼文をウェブサイトのトップに掲載しており、社を挙げて注力する空港アクセスプロジェクトなので意気を込め、あえて彼を迎え入れたという感じがしますね。
 輸送用機械以外のデザイナーが関わった鉄道車両というと、最近では建築家の妹島和世氏による西武001系がありますね。イメージパースが発表になったときにはあんな電車が本当に走るんだろうかという感想を持ちましたが、現車が出来上がってみると特徴的な先頭形状はあまり奇を衒ったように感じさせず、むしろ側窓の上下幅がこれまでになく広いのが印象に残りました。
Tamon
2020年07月31日 00:42
そうそう、外部から迎え入れた新しいデザイナーが、これまでにない感性を持ち込んでくるのが面白くてたまらないです。今度はどこが新しい人を連れてくるだろう、という感じです。