鉄道ピクトリアル アーカイブスセレクション43 国鉄情報1955~59

鉄道ピクトリアル アーカイブスセレクション43 国鉄情報1955~59』を読み終わりました。買うかどうか迷った資料でしたけど、買って良かったです。

このアーカイブスセレクションのシリーズは、たいていは『鉄道ピクトリアル』の過去の号で、関連するテーマを扱っている記事を集成したものなのですが、今回は同じ電気車研究会が過去に出版していた『電気車の科学』からの集成でした。その点でやや看板に偽りありという感もあります。『鉄道ピクトリアル』は、かなり古い号までバックナンバーを買い集めてしまったので、私にとってはアーカイブスセレクションを買うと、既に所有している記事を再度買ってしまうことになっていたのですが、『電気車の科学』は所有していないので、これは純粋に私にとって新しい情報です。

前半は、『電気車の科学』に連載されていた「国鉄情報」のコーナーの集成です。毎月、国鉄当局から聞いてきた様々な情報を小記事にまとめたものだったようです。昭和30年代なので、積極的に全国の電化や複線化が推し進められているとともに、新型車両の開発試験が行われており、そのあたりの情報が目白押しという感じです。今の時代からしてもいろいろなことが次々に出てきて、当時の人は楽しかったのだろうなと思わされます。

後半が信号保安の特集になっており、これが特に良かったです。イギリスでの信号保安の発展から説明があって、なぜこの保安はこうなっているのか、といったあたりがわかる記事になっています。昨今だと、おおもとの保安がどうなっていたのか歴史的な経緯は無視されがちなんですよね。昭和30年代だとまだまだ原始的な面が多々残っており、自動閉塞こそ既にあるものの、ATSは国鉄にはなく、信号保安の原点を見る思いがします。

多くの事故事例を挙げながら、なぜ規定がこうなっているのかをわかるような内容になっています。読んでいると、あー、となってしまうミスや失敗なんですよね。そして、常用閉塞だけでなく代用閉塞にも触れていて、今は廃止された隔時法についても触れています。しかしやはり、代用閉塞に切り替えるときの手順が失敗の温床なのですよね。自動閉塞区間で信号高圧が停電して信号機が消灯したので、駅間走行中の列車は規定に沿って無閉塞運転をしていたところ、停電を確認した駅で駅間の開通を確認せずに代用閉塞に切り替えてしまって、それに基づいて走ってきた後続列車が追突した、なんていう事例がいくつも書かれていました。

やはり信号保安の歴史の本を読んでみたいものです。江崎昭『輸送の安全からみた鉄道史』グランプリ出版が一番これに近いのですけど、江崎さんの書く文章って全然まとまりがないのですよね。

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