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<<   作成日時 : 2015/03/26 13:00   >>

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佐藤信之氏の著書『新幹線の歴史』を読み終えました。佐藤氏は亜細亜大学の講師で、鉄道関連の政策や経営論などの記事を鉄道雑誌によく寄稿しています。

この本は、『新幹線の歴史』と称しながら、車両や技術の発展の経緯についてはほとんど触れておらず、主に日本の軌間論争や弾丸列車計画に始まり、政治との関わりや財源問題を中心に、極めて政治的な話を中心に据えた本となっています。その点では、車両を中心に考える鉄道ファンにとっては物足りないでしょう。しかし私はこういう話の方が好きなので、まさにぴったりの感があります。整備新幹線の経緯についても、順次スーパー特急がフル規格化され、新たな財源を求めて議論が繰り返されてきた様子が克明に記録されています。

ただ、明確な誤りを指摘することができる点があります。佐藤氏は、いわゆる「根元受益」の考えについて、同じ会社内での路線延伸時の貸付料計算時に、これまでの開業区間での受益増を反映しない、としていますが、これは違いますね。現状の計算方式でも、同じ会社内であれば既存路線での受益は反映されています。八戸延伸時には、盛岡以南の東北新幹線の需要増が反映されています。「根元受益」の問題の時に取り上げられたのは、他社線の開業に伴って受益が増える分を収受しようとしたからで、自社線の延伸時の問題ではないです。たとえば、北海道新幹線開業に伴って東北新幹線の受益が増える分を徴収して財源にしよう、としたので、JRが反対して揉めたのですね。

なお、よみがなとして「ねもとじゅえき」と書いてありました。私はてっきり「こんげんじゅえき」と読むのだと思っていました(汗)。

また九州新幹線南部の部分開業時、JR九州が川内-西鹿児島の運営を継続したことについて、事情が明らかでないが、鹿児島都市圏の人口が多いところでの経営を継続したかったのではないか、としています。これは、当時の地元の南日本新聞をしっかり読んでいれば明らかなのですが、地元では三セクの枠組みを巡ってかなり揉めており、県別に設立する案、廃線にしてしまう案などまで取りざたされる中で、議論の題材にするつもりだったのか、JR九州の社長が、「たとえ廃線にすると決まったとしても、川内以南であればJRで運営を継続できます」と言ってしまったのです。そのため、串木野市、市来町、東市来町、伊集院町、松元町、鹿児島市の川内以南沿線自治体は、JRで存続することが決まった、とばかりに三セク協議から離脱してしまい、なし崩し的に八代-川内間での三セク設立をしなければならなくなった、という事情があるのです。JR九州は、当時から川内以南も赤字であると明言していました。

ともあれ、政治的な事情についても詳しく記載されているこの本は、なかなか良かったです。

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