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zoom RSS 電気機関車とディーゼル機関車

<<   作成日時 : 2015/08/14 13:00   >>

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交通ブックスの第124巻、『電気機関車とディーゼル機関車』を読みました。これは圧倒的にすばらしい本でした。

著者は、日立製作所で機関車の開発に携わっていた2名連名です。だからといって、日立の機関車の開発史になっているわけではなく、むしろ日本どころか、世界全体の機関車発展史が非常に的確に描かれています。日本で発行されている多くの鉄道関連書籍の問題点として、日本中心的になりすぎていて、発展のごく初期の段階で外国の状況とその技術導入について説明した後は、ひたすら日本での発展経緯だけを記しているというところがあります。もっと酷い場合は、国鉄での発展史になってしまっている場合がありますが、さすがにこれについては最近は是正が進んで、私鉄の発展をきちんと取り込んだ資料も増えてきました。この本では、日本ではあまりわからないような、日本国外の発展の状況も実にうまく織り込んで説明されており、日本の事情が特別だったのか一般的なものだったのかがわかるようになっています。

発展状況について取り上げているのは、日本、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、アメリカ、ロシア、中国、インド、南アフリカといった感じで、かなり広範に調査して事情を書いています。あちらではこんな発展状況だったのか、と思わされるところがかなりありました。やはりメーカーの技術者は、ここまで海外事情も調べていて参考にしていたのだな、と思わされます。鉄道の発展というのは国ごとの独自性が強いので、どうしてもこの分野でドイツではこれこれ、フランスではこれこれ、みたいに国ごとに説明が並列するような形になってしまうのですけど、このこと自体は仕方がありません。

電気機関車もディーゼル機関車も要素技術として共通するところは多いので、そういうところについてはうまくとりまとめて説明しています。制御と機関の部分が大きな違いですが、機関そのものについてはそれほど踏み込んでおらず、各メーカーの特色を紹介するといった感じになっていました。制御はある程度各時代の技術的発展の背景を説明しながら、どういう制御をしているのかを触れていました。他に変速機、駆動装置、台車の軸重移動補償、台車の牽引装置、軸箱支持装置といった個別の要素について特色と発展経緯をうまくまとめています。個別の装置の詳細についてはさすがに紙幅の都合もあってか踏み込み切れていないところもあるのですけど、それはそれ専門の資料を読まなければ、というところです。とにかく、全般の状況をうまく概観できている資料というのはなかなか貴重なので、この本はそういう点で非常に重要だと思います。

最近批判されるところの多い、国鉄のディーゼル車両開発ですが、この本では立場もあってかあまり突っ込んで批判してはおらず、機関がよく標準化されていたが後に残らなかった、というあっさりした説明です。また国鉄では失敗したと評価されるクイル式駆動方式について、他国ではうまくいっているのに日本ではダメだった理由がよくわからない、という総括でした。国の差異としては、たとえば日本ではBoBoBoの車軸配置の6軸機が多いですが、これと同じなのはイタリアくらいで、ドイツやフランスは最近は4軸機が多いし、アメリカだとCoCoの6軸機が主流で、ロシアだと永久重連が主流、などとなるほどと思わされる話が多いです。

願わくば電車や蒸気機関車についても類似の本が出てほしいところです。前者はともかく、蒸気機関車となるとあまりにも発展の経緯が複雑で長すぎて、しかもゲテモノも多いために、今回のこの本と同程度の密度で書こうとすればとても交通ブックスの紙幅には収まらないでしょうし、うまくまとめられる人もあまりいないのではないか、と思います。齋藤氏の三部作はかなりそれを満たしているのですけど、決して蒸気機関車の全体を描ききってはいないと思うのですけどね。とにかく、この本は圧倒的で、まず電気機関車やディーゼル機関車の世界の全体を知りたければ、この本を読もう、という内容になっていました。お勧めできます。

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