有馬温泉

1月まで根を詰めて仕事をしていて疲れたので、やや仕事が一段落したこともあって今日は休みをもらい、有馬温泉に行ってきました。

まだ六甲有馬ロープウェイに乗ったことが無かったので、これを使って六甲山を越えて行ってみることにしました。阪急六甲で下車し、神戸市バス16系統で六甲ケーブル下へ。六甲ケーブル下駅で、六甲有馬片道きっぷを購入し、有馬温泉までの乗車券をこれで確保しました。さすがに冬期の六甲山は閑散としているようで、同じケーブルカーに乗った人はわずかでした。中国人の家族連れが乗っていて、これはどこへ行くのだろうと思っていたのですが、後で同じバスになって、六甲山人工スキー場で降りて行きました。こんなところにわざわざ中国人がスキーをしに来るとは。

六甲ケーブルの六甲山上駅には、かつては六甲有馬ロープウェイが来ていたのですが、利用不振だったのか2004年に休止になってしまっており、運行が続いているのは六甲山頂駅と有馬温泉駅の間だけです。このため六甲山頂駅までは六甲山上バスに乗って移動する必要があります。運行が続いていれば、軌道系交通機関で有馬温泉までがつながっていたわけですけどね。

六甲山上バスで移動すること15分ほど、六甲山頂駅に到着するといよいよ閑散とした感じです。今も運行が続いている有馬温泉へ通じる側は裏六甲線、六甲山上駅(ロープウェイの駅名は表六甲駅)へ通じる側は表六甲線と呼ばれていました。六甲山頂駅では、表六甲線のケーブルや搬器などがそのままになっています。表六甲線の側を覗き込むと、六甲山頂カンツリー駅という名前だったのであれ、と思って帰ってから調べると、表六甲線休止時に六甲山頂駅に改称したそうです。なるほど。結局、有馬温泉へ行くロープウェイの同じ時刻の便に乗ったのは私の他には2人だけです。その2人が乗務員の女性といろいろしゃべっていて、、秋の紅葉の時期などには駅の外まで行列ができるほどお客さんが来るとか。通常20分ヘッドで運転されていますけど、片道10分以上かかっているので、ヘッドを詰めても15分が限度でしょうね。輸送力的にはもうそれほど余力が無いですね。有馬温泉までは、かなり深い谷間を横断していくところがあって景色もなかなかです。最後は急勾配で一気に下って行きます。

有馬温泉駅に到着し、歩いて温泉街へ。温泉街は結構活気があって、やはり冬にわざわざ六甲を越えてくる人はあまりいないけれど、温泉に入りに来る人はそれなりにいるのでしょう。有馬稲荷神社、温泉寺、湯泉神社などを参拝。昼食を取ってから「金の湯」へ。有馬温泉はいろいろな泉質があるそうで、その中でも赤いお湯の温泉を金泉というそうです。実際真っ赤なんですね。たっぷり鉄分を含んでいるそうです。熱い浴槽とぬるい浴槽があって、ぬるい方にばかり人が集まっていました。実際熱い方はあまり長く入っていられないです。

有馬温泉には炭酸泉もあるそうです。かつては炭酸が原因で鳥や虫などが死んでいる理由がわからず、毒泉扱いされていたそうで、明治になってから成分分析で炭酸泉であることがわかって浴用、飲用にも用いられるようになったとか。これを利用してサイダーを作るようになったとかで、有馬名物のサイダーなるものが窓口で売られており、これも飲んでみました。当たり前ながら、普通のサイダーの味ではあります。

金の湯の前には有馬玩具博物館があります。どんな感じだろうかと思って入口にあるパンフレットを見たら、メルクリンの鉄道模型があると書かれていたので思わず入ってしまいました。1人800円と安くは無いのですけどね。6階建ての建物で、1階はミュージアムショップ、2階は食堂になっているので、展示は3階から6階まで。エレベーターで6階まで上がって、1階ずつ階段で降りながら見ていく構造です。全体的に見て、おもちゃを総括できるような展示ではなく、特定の分野に絞った展示をいくつか行っている、というように見受けられます。

6階はドイツの伝統的な木製のおもちゃです。ドイツのザクセン州南部にザイフェンという銀やすずなどを採掘する鉱山で栄えた村があって、その鉱山の鉱石運搬などに水力が古くから用いられており、その水力をさらに利用してろくろを回して木造のおもちゃを作るようになった、というのがここで展示されているザイフェンのおもちゃの由来だそうです。係員の人がいろいろ解説してくれ、ビデオではろくろを使って木を削って一体何をしているのだろうとしか思えなかったものが、そうやって削り出されたものの実物で断面を見せてくれると一目瞭然でした。クリスマスツリーなどの飾りつけに使う、木製の動物像を量産するためのもので、断面は動物の形になっていました。これを必要な大きさに切断していくことで、金太郎アメのごとく動物像を量産できるというものです。解説があるとわかりやすいですね。

5階はより現代のおもちゃで、積み木類の展示でした。スイスで作られている特異な形状の積み木を使って様々な形のものを作りだす実演をやってくれて、いつも練習しているからなのでしょうけど次から次に新しい形を組み立ててきて、実に見事なものです。また展示されているおもちゃは、ガラスケースの中に入っているものもありますが、実際に触って遊べるものがかなりたくさん用意されていて、この手の博物館としては凄いですね。触っていると壊してしまったり、そうでなくても擦り減ってしまったりするものでしょうに。

4階はオートマタです。いわゆるからくり人形。これまた係員の人が最初に説明してくれた250年前のからくりというものが物凄くて、オルゴールの箱のような小さなものに、本物のハチドリの羽を使って作られたという、親指の先ほどの小さな鳥が入っていて、ぜんまい仕掛けでこれが羽をはばたかせてピーピー鳴くというものです。音はふいごを動かして鳴らしているのだそうで、こんなものをぜんまいでこれほど小さく作り込んでしまう腕というのは大したものです。これほど精巧なものはそれほど多くないのですが、クランクだのカムだのさまざまな仕組みでからくりが動く様子がわかるようになっている展示が部屋中に並んでいました。

3階がブリキのおもちゃとメルクリンの鉄道模型です。メルクリンはドイツの有名な鉄道模型メーカーですね。ここにあるものは50年くらい前のものがあるとかで、愛好家が個人で集めていたものを展示しているとか。私は交流3線式はこれで初めて見ました。

日本でいま普及している鉄道模型のほとんどは直流2線式で、2本のレールのそれぞれがプラスとマイナスになっていて、ここに掛かる電圧で列車の速度を操作します。プラスとマイナスを反転させれば列車の進行方向が変わります。ただ欠点は、リバースと呼ばれる、テニスのラケットのような形の線路を走って列車の向きが反転してしまうような構造を作ってしまうと、プラスとマイナスが必然的にショートしてしまうことになり、絶縁を入れてスイッチなどで操作をして切り替えてやる必要が出てきます。

これに対してメルクリンの交流3線式は、両方のレールは同じ電位で、これに加えてレールのちょうど中間にもう1本のレールがあってこれとの電位差で走ります。中間のレールが見えるとリアルではないので、道床の裏側に隠して通してあり、枕木の上にポツポツと突起が出ていて、ここに電圧がかかるというものです。車両の側は、台車の真ん中などにセンターシューという集電用の金属板が出ていて、これで突起に触れて集電します。中央レールと両端レールの電位差で走ることから、どのように線路を配線したとしてもショートの問題が生じずに自在に走れるという利点があります。また、両端のレールは同じ電位なので、両側が絶縁されていない金属車輪を使っても問題がありません。またこの方式の方が集電特性が良くて、鉄道模型でつきものの、埃で集電特性が悪化して走らなくなってしまうという問題が生じにくい、との売りのようですが、実際には博物館の方は掃除に苦労しているとか言っていました。これはちょっと疑問ですね。一方で欠点は、できるだけ見えづらくしているとはいえやっぱり線路の中央に突起があるのは変ではないか、というところと、最初からセンターシューを装備している動力車ならばともかく、客車全体に室内灯を装備しようとすると車両間に導線を通すか各車両にセンターシューを取り付ける必要があって大変、といったところがあるようです。さらにこれは3線式だからではないですが、交流で走らせているので、列車の進行方向を変えるのは簡単ではありません。一体どうやって進行方向を変えるのか理解できなくて、博物館の方も電気的なことはよくわからないとのことだったので、帰宅してから調べてみると、車両にリレースイッチが付いていて、短時間規定の高い電圧をかけるとそれが動作して車内の配線が切り替わって、逆向きに走るようになるのだそうです。これは結構面倒な仕組みに思われます。こういう仕組みが必要なせいで、直流2線式ではダイオードを使うだけで簡単にヘッドライトとテールライトの切り替えができるのに、交流3線式ではその切替は容易ではありません。

それにしても、センターシューなどという仕組みでよくうまく走っていられるものです。当然分岐器のリードレールにも当たるはずで、ひっかかってすぐ脱線しそうなものがうまく走っています。リードレールには電圧をかけない仕組みなのでしょうか。そうでないと、中央突起部に接触した状態のセンターシューがリードレールに当たった瞬間にショートしてしまいますからね。

館員の人も鉄道模型はそれほど強くないと言っていて、電気的なことが分からないので時折専門の人に来てもらって見てもらっているとか言っていました。それでも古いだけにもう部品の調達などは大変なようです。維持できなくなっている部分もあるとか。結局2時間近くかけて見てしまいました。これはなかなか面白い博物館です。

神鉄の有馬温泉駅から電車に乗って帰ってきました。往路では六甲山を越えるのに乗り継ぎ乗り継ぎで時間がかかりましたが、粘着式鉄道ではあっというまに神戸まで行けてしまい、しかもはるかに運賃は安いという。さすがですね。

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