地図と鉄道省文書で読む私鉄の歩み 関西2 近鉄・南海

地図と鉄道省文書で読む私鉄の歩み 関西2 近鉄・南海』を読み終わりました。著者の今尾氏はこの手の地図と鉄道のかかわりを書いた本を何冊も出しています。

鉄道省の文書は国立公文書館に大量に所蔵されており、鉄道の建設に当たっていちいち当局の許認可が必要であるために、構想だけに終わった路線も含めて多くの資料があります。それを丁寧にたどっていくといろいろ面白いことがわかるのですけれど、いかんせんあまりに膨大すぎますし、わかりやすくインデックスが付けられているわけでも、読みやすい現代語の活字になっているわけでもありません。そして何より、東京の国立公文書館に出向かなければ読むことができない資料が大半です。この本は、著者が丁寧に文書を読み漁ってうまく流れを描き出して解説を付けたものなので、大変ありがたいところです。

最初の関東の3巻で関東の大手私鉄はすべて網羅されており、関西はこれで2巻目で、関西5私鉄が網羅されました。近鉄は、『東への鉄路』で草創期から名古屋到達までの歴史をつぶさに読むことができるので、その流れを確認できる程度の内容ですが、そちらでは開設されていなかった、近鉄にとって傍流と言える南大阪線系の歴史を丁寧に説明しているのが嬉しいところです。残念ながら奈良電気鉄道や三重交通などに関してまでは触れ切れていませんが。

南海も、阪和線の歴史も含めて解説しており、なかなか面白いです。特に興味を惹かれたのが、高野山への鉄道は京阪系と南海系の2社に2路線免許されていたのですね。しかも当初の構想案だと、ケーブルカーで登った後にさらに山頂側に普通鉄道を敷いて高野山の町に近づくようなものだったそうで、信貴山への鉄道を思い起こさせます。本当に完成していたら面白かったでしょうが、やはり戦時中に撤廃されて山上側はバス輸送になっていそうな気もします。

大手私鉄だと、まだ名鉄と西鉄という、結構奇々怪々なところがある会社が残っているのですけれど、とりあえずここで打ち止めのようです。さらに展開してくれるところを期待したのですけどね。あるいは量がまとまれば発行するかもしれないようですけれど。大都市に近いところほど需要が大きいので、商業的には仕方ないのかもしれません。

この手の資料がさらに充実してくれることを期待したいところです。

この記事へのコメント

Tamon
2019年05月12日 01:18
そこは時折出てきますねぇ。

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