事業の目的と変化

企業コンサルタントの書いた記事で、環境変化に対応して事業を存続させられなかった例として、アメリカの鉄道会社の例を挙げた記事が出ています。いわく、アメリカの鉄道会社の衰退は、自動車や航空機の出現そのものによるのではなく、鉄道会社が自社の本業を輸送事業と捉えられずに、鉄道以外の方法で輸送することを考えなかったからだ、といいます。つまり自動車や航空に進出するべきだったということですね。

わかりやすく説明したければこういうことになるのかもしれません。しかし、これは正確とは言い難い面があります。そもそも、アメリカにおいては鉄道会社の本業は貨物輸送であり、その面では今でも高い収益を上げ続けています。旅客輸送はおまけに過ぎなかったので、適当に切り捨ててしまっても良かったのですね。だから、旅客輸送を何とかするために、他の事業に新たに参入しようという方向にはならなかったのでしょう。また、19世紀の鉄道の独占時代に、それを悪用してやりたい放題やっていたために、強い法的規制がかけられてしまい、20世紀半ばのこうした競争相手の到来した時代には、とても自由に事業を改廃できる状況ではありませんでした。

まあ、この記事の言いたいところは、企業が存続していくためには本来の事業の目的は何かをはっきりさせて、必要に応じて事業を変化させなければならない、ということなので、アメリカの鉄道会社は例示に過ぎないのでしょうけど。詳しい事情をわかっていると、それは違うよなと思ってしまいますね。

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