ストライキ消滅

ストライキ消滅』を読みました。スト権奪還ストとは何だったのか、というサブタイトルが付いています。スト権ストの前後に国労や総評の幹部だった富塚氏、武藤氏などのインタビューをもとに構成した本で、当時テレビ討論で政府側を代表した海部氏のインタビューも入っています。

スト権ストは、私にとっては生まれる前の話であり、まったくもって歴史上の話です。しかし実際の展開としてこんな感じになっていたのか、と思わされる内容です。労組のトップも、決して政府と対立しているばかりではなく、政府側の人間と細かく打ち合わせしていたり一緒に飲食に出かけたりしていますし、情報はいろいろ入手している感じです。それでも情勢分析を間違えた感じがありありとしますね。田中元首相の力をうまく利用すればスト権を獲得できたのでは、みたいな感じも書かれていますが、実際のところどうなのでしょうか。当時の三木首相はスト権付与に容認的だったのに、周囲の反対でできなかったという感じに労組側は分析していたようですが、海部氏のインタビューだと三木首相にそんなそぶりはまったくなかったと書いていますし。

前段階としてマル生運動の当局にとっての失敗、労組にとっての大勝利があり、それに伴って職場の主導権が労組に握られて一部で無秩序化し、スト権ストに流れ込むところがあります。しかし、労組の幹部としてはしっかり末端まで統制を利かせる必要性を感じていた、ということが語られていて、わかっていた人はいたのだなと思います。あの時代に、労組上層部の言うことも聞かずに山猫スト的なところまで突っ込んでいた、秩序の崩壊した職場があったことは、その後大きくしっぺ返しを受ける要因ですし。

著者は労組やストライキに対する好意がありありとしている感じの書きぶりです。またインタビューと言っても当事者が非常な高齢になっていて、当日うまく話すことができなかったこともあり、過去の当事者の書いた資料などを基に綺麗なインタビューのような記事になるように著者が再構成したと断っているので、果たしてどこまで正確に当事者の当時の考えを再現できているのかは不明ですが、当時の様相を知る興味深い本であるように思います。

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