AW609で小笠原航路検討

小笠原諸島に垂直離着陸機で航空路線を開設しようという検討がされていると、記事が出ているようです。

小笠原諸島は日本のはるか南にある諸島で、十分な長さを持つ滑走路を設置できるような土地がなく、環境保護のために大規模な造成や埋め立ても困難ということで、今まで航路しかありませんでした。そのため東京から丸1日ほどかかる船旅でなければ行けない場所です。その所要時間だけでなく、船がすぐ折り返してしまうことから、満足に現地で観光する時間を確保しようとすると、さらに次の船が来るのを待たなければならないので、現地滞在時間がかなり長くなってしまうという問題もあり、なかなか観光に行きづらい土地です。

島民や滞在中の観光客などに急患が出た場合には、自衛隊の飛行艇US-2が飛んでいます。飛行艇なら海面に着水できるので、小笠原へも航空機で行けるわけですが、飛行艇は維持コストが高いため、ほとんど軍用・公的機関用でしか使われず、民間航空路線を開設するために用いることはほとんど考えられないものです。またヘリコプターも、伊豆諸島の青ヶ島への路線などでは用いられているものの、航続距離が短いため、小笠原のように非常に遠い島への運用は難しいものです。

そこで、最近開発されているAW609を使おう、という話が出てきたようです。昨今アメリカ軍が運用している、ヘリモードと固定翼航空機モードを切り替えることのできるティルトローター機、V-22オスプレイと同じ方式の、民間用の機材です。プロペラ機で、プロペラの向きをヘリコプターのように上に向けることも、固定翼プロペラ機のように横に向けることもできる、ヘリコプターとして上昇してから固定翼プロペラ機に切り替えて飛べる、ということです。固定翼プロペラ機だとヘリコプターより速度と燃費に優れますから、その利点を生かすために切り替えられるようにしているわけです。

AWという略号からわかるように、AW609はアグスタウェストランド(現在はレオナルドの傘下)が開発している機材です。開発にかなり難航しているようですが、今年実用機の納入ができるかも、というところまで来ているようです。ティルトローター機はとても興味があるので乗れるものなら乗ってみたいのですが、しかしこの機材、旅客は8人乗りを想定しているのだそうで、いくら何でもそれでは少なすぎて1人の運賃がバカ高くなるのではないでしょうか。航続距離は1000海里だそうで、約1852kmですが、小笠原まで片道1000kmくらい、もし現地に行って悪天候だったら硫黄島にダイバートと考えると、結構ギリギリでしょうか。

他に1000メートル程度の滑走路を何とか造成してATR72を飛ばそう、という構想もあるのだそうですが、この辺り果たしてどうなるものか。飛行機など就航しない不便なままの方がよい、という意見もあるようですけど、どうなんでしょう。

この記事へのコメント

たづ
2020年08月02日 18:44
個人的には、8人しか乗れないこの機体より、US-2を民間機仕様にした飛行艇で30何人運んだほうがよっぽど無難だと思いますが、どうなんでしょう?
Tamon
2020年08月03日 01:18
飛行艇は海に着水する関係で潮水を常時浴びるので、メンテナンスが非常に大変で寿命も短いと聞いています。そのコストを考慮してどうか、ですね。昔は飛行艇の航路があったのになくなったのはそういう理由みたいですし。