鉄道信号技術

鉄道信号技術』を読み終わりました。日本鉄道電気技術協会でまとめた鉄道信号の技術の本で、鉄道信号の専門家が執筆陣に並んでいます。本文だけで420ページくらいあり、読んで理解するのに時間を要するので、読み終わるまでかなりの時間がかかりました。

わかりやすくまとめられていますし、今までの本にありがちな、国鉄・JR系の話に終始して民鉄の技術がろくに触れられていないというようなことがなく、民鉄や海外の事情にもうまく注意が払われた記述になっています。また多少ながら歴史的な経緯について触れている部分もあります。しかし、これだけたっぷり書かれているようにみえても、それでも鉄道信号の技術を端から端まで十分な質量で解説するということにはこの紙幅でも大幅に不足ということのようで、触れられていない部分は多々あるように思われました。鉄道信号をまったくわかっていない人がこの本を読んで理解できるかというと結構疑問で、平易なところからうまく解説していくような入門書は別に必要ではないかと思われます。ある程度知識のある人が、復習したり自分の理解していないところを補ったりするための本、という感じです。

連動装置の章などは、私はこれを読んだだけでは理解できる気がしないです。基本的な解説はあるのですけど、これでどうやって駅の連動を設計するのか、いまいちという感じです。本当に知ろうと思ったら、別に連動装置専門の本が必要なレベルなんですよね。あと、日本で最初の電子連動装置は東神奈川駅に導入されたと書かれていますが、東急の中央林間駅の方が先だったはずです。

軌道回路の章は、分布定数回路のやり方で特性を計算する方法とかが解説されていて、なるほど専門家はこういうことをやっているんだな、と感じました。分布定数回路は大学で習ったけれど、すっかり忘れてしまいましたね。列車位置検知については、ほぼ軌道回路に集中して説明されていて、チェックインチェックアウト方式、車軸カウンター、交差誘導線などといったその他の位置検知技術については、こんなものもあるという感じで2ページくらいに押し込まれていて、ほぼ解説がない状態でした。

信号の機器関連(信号機やリレーなど)の具体的な設計とか、切り換え工事の話とか、あまり普通には考えなさそうなところまで網羅されていて良い感じです。しかしやはり、信号機は現行でよく使われている色灯式・灯列式だけで、単灯式や腕木式については存在することには触れられているものの解説を省略とされています。

不満点はいろいろあるもののやはり紙幅の限界でしょう。これ以上はこの規模の本では期待できないというくらいにしっかり書き込まれているものと思います。

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