新幹線100系物語

ちくま新書の『新幹線100系物語』を読み終わりました。著者は電車研究家として多くの著作がある福原俊一さんです。

単純に、多くの文献からまとめ上げただけの著書ではなく、関係者から丹念にインタビューをしているのがいいところです。100系新幹線にあったカフェテリアの営業というのは実際はどうだったのかと、当時カフェテリアに勤務していたパッセンジャーズサービスの人にまでインタビューをしています。当然車両の開発陣にも聞きに行っていますし、有名なシンデレラエクスプレスのコマーシャルを企画した人にも話を聞いています。これはよくぞここまで人を探してインタビューをまとめたものだと思います。時機を逸すると、当人も忘れてしまったり資料が散逸したり、果ては亡くなってしまったりするので、きちんとした書籍に残してくれることが重要です。

シンデレラエクスプレスの頃は、私はまだ子供だったので実際に乗る機会などまずなかったのですけど、対象となった東京発新大阪行き下り最終「ひかり289号」は、実はCM放送開始当初はまだ0系だったのだそうです。これは知りませんでした。まだ100系の編成数がとても限られていて、あまり充当列車がなかったのですよね。しかしCMが評判を呼んだこともあって、急遽日曜日の夜だけは運用を差し替えて最終を100系にしたのだそうです。遠距離恋愛の話なので、日曜日の夜が大事なのですね。

あまりしっかりと比較したことがなかったのですけど、0系の16両編成に比べて、シートピッチを広くした分、てっきり100系の16両編成は定員が減っているものかと思っていました。しかし実際には、0系16両編成では食堂車とビュフェが1両ずつあったのに、100系ではビュフェを廃止したこと、デッキ部の寸法を詰めて定員減を最小に抑えたこと、さらに2階建て車両で多少定員を稼いだことがあって、実は定員が変わらないのですね。これで3列席の回転を実現したわけですから、大きな進歩です。

しかし、1992年から300系「のぞみ」の投入が始まって、余裕よりスピードを選んだ感じがあり、やはり国鉄が苦しかった時にゆとりをアピールしたこと、そしてバブルの雰囲気というものを100系に感じてしまいます。クリスマスエクスプレスのキャンペーンが1992年までだったのも同じような感じでしょうか。私の世代だとあまり利用できなかったのですけど、かろうじて2階建て食堂車やグリーン車の利用を1回ずつは経験できたのは良かったです。

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